母乳のおはなし
卵巣がんと告知を受けてから、入院まで1週間。
荷造りや友達への報告など、バタバタしていたけど…一番大事なことは、息子の断乳でした。
産まれてから一応混合 (完母寄りですが) で育ててきたので、粉ミルクへの移行はさほど難しいものではありません。
でも、ずっと子供が欲しかった私にとって、赤ちゃんにおっぱいをあげるというのは憧れみたいなもんで。
病気になったからハイ中止!…となかなか割り切れないものなんです。
しかも、子宮も卵巣も取ってしまうことは予想がついてましたし…母乳をあげることはもうこれで最後。
告知を受けた時は泣いたりしなかったのに、看護師さんから母乳を止めるアドバイスを受けていると、涙がこぼれてきました。
病気じゃなくても、どのみちいつかはバイバイするものなんだから…と、自分に言い聞かせて…
でも、せめて1歳までは、おっぱいを飲ませてあげたかったなぁ。
断乳するようにと言われてから、息子をここまで育てるまでのことを色々と思い出したりしました。
産後すぐの頃、なかなか母乳が増えなくて悩んだこと。
乳腺炎になって39度の熱を出しながら、息子をあやしてたこと。
最後4ヶ月から歯が生え始めた息子に、最初は怯えながらおっぱいをあげてたこと。(でも、乳首を噛まれて怪我をすることはなかったなぁ。)
飲みながらウトウトする様子も、寝ぼけながらおっぱいを探すしぐさも、全部目に焼き付けたいぐらい、愛しい時間でした。
1週間で断乳すると決め、徐々に授乳回数と時間を減らしていくことにしました。
母乳って不思議、授乳を減らしていくと作られる量もちゃんと減っていくんですね。
毎回、飲ませながら『もうすぐおっぱいはバイバイだよ〜』と、自分にも息子にも言い聞かせて。
順調に断乳は進んだけど、寂しくもありました。
入院の前の晩、最後に好きなだけ飲ませてあげました。もうその頃には1日1回ぐらいしか吸わせてなかったので、息子を満足させるぐらいは出なかったのですが…私の気持ちの区切りをつけることができました。
息子へ。
そんなにたくさん出るおっぱいじゃなかったけど、がんばって吸ってくれてありがとうね。
早く元気になるから、待っててね。